3C分析を始める前の準備
3C分析は「市場・顧客」「競合」「自社」の3つの観点から分析を行いますが、いきなり3つの要素を調べ始めてはいけません。事業戦略の方向性を適切に示す分析結果が出せるよう、事前準備を怠らないようにしましょう。
■事業の目的とゴールを明確にする
市場や顧客、競合、自社の情報をどう整理・解釈するかで、3C分析の結論が大きく変わります。
時には、自社の事業と全く異なる方向性の結論が出てしまうこともあるのです。
まずは、そもそもあなたの会社の事業は何のために推進するのか、何が成果として求められているのか、あらかじめ明確に言語化しておきましょう。
この事業目的とゴールを軸に、3つのCの要素を整理していくことで、適切な結論が導き出せます。
■分析結果の報告イメージをすり合わせる
3C分析はマーケティング界隈でもメジャーな分析手法で、多くの方が取り組んでいます。
そのため、独自の分析方法や結論の導き出し方をしている場合があります。
特に会社の上司や決裁者と分析結果を共有する場合は、分析結果の報告イメージがずれないよう、最初に何の要素を調べ、どのような結果を導こうとしているのか、すり合わせておきましょう。
報告時のフォーマットを作成し、調べる要素や導く結論に相違ないか、事前に確認してください。
1.市場・顧客の情報を調べる
事前準備ができたら、3つの観点での調査に入ります。まずは市場・顧客の情報を調べましょう。
ここでは、参入する市場の規模や動向、また顧客となる企業がどのような需要をもっているかを調べます。
下記に調べる要素をまとめているので、項目ごとに調べた結果を書き出してみましょう。
[市場・顧客]で調べること
- 市場の規模はどの程度か?
- 市場の成長率はどの程度か?今後どういう推移をたどる見込みか?その要因は?
- 市場や業界が影響を受けるような規制緩和、法改正といった政治的変化はあるか?
- 市場や業界が影響を受けるような経済成長、景気変動といった経済的変化はあるか?
- 市場や業界が影響を受けるようなトレンド、顧客の思考変化といった社会的変化はあるか?
- 市場や業界が影響を受けるような技術革新、IT化といった技術的変化はあるか?
- 市場や業界が影響を受けるような代替品や代替サービスの登場はないか?
- 市場への新規企業の参入状況はどうか?
- 大手企業のひとり勝ち状態など、市場内の敵対関係の強さはどうか?その要因は?
- 市場の価格競争状況は激しいか?
- 市場における需要と供給の状況はどうか?買い手となる企業が求める商品やサービスは世の中にあふれているか?
- 仲介業者や卸業者との関係性はどうか?
市場の規模や動向はインターネットにも掲載されています。
さらに詳しく知りたい場合は、マーケティングリサーチ会社から発刊されている市場分析資料を購入するのもおすすめです。
特に新規の参入状況や今後の市場動向は予測が難しいので、専門的な知見での調査結果を参考にすると良いでしょう。
市場環境・顧客の観点で分析するべきポイントは、大きく分けて以下の4点になります。
- 市場規模
- 市場規模推移
- 顧客のニーズ
- 顧客の購買行動・能力
2.競合の情報を調べる
次に、競合の情報を調べます。ここでは、市場における競合他社がどの程度いるのかに加え、各企業が提供している商品やサービスとその成果、成功要因などを網羅的に調べます。
[競合]で調べること
- どんな競合がいるのか?それぞれが市場で何を提供し、どの程度のシェアを占めているのか?
- 市場で最もシェアを占めているリーダー的存在の競合はどこか?その企業は何を提供し、なぜ成功しているのか?
- 自社と似た商品展開やコンセプトを掲げる類似企業はどこか?その企業は何を提供しているのか?
- 競合は市場においてどんな戦略を実施しているか?
- 競合が保有している圧倒的な資源(人員体制や資金、独自の生産ルートなど)は何か?
- 新たに参入してきた競合はどこか?その特徴や魅力的な点はどこか?
市場・顧客の調査項目が競合の要素と重複している部分もあります。
インターネットやリサーチ会社の情報源から参入する市場の競合を具体的に調べましょう。
また、各業界に特化した代理店やコンサルが、まだ世に出ていない情報を持っている場合があるので、相談してみるのもよいでしょう。
競合調査を進めていくと、自社が事業を推進する上で、「この企業は自分たちと同じ規模ながら、魅力的な商品戦略をしている」「この企業のマーケティングは自社でも参考になる」と思えるものが出てくるはずです。
そういった企業は「ベンチマーク企業」として自社のお手本とし、参考になる訴求や販促方法をより深く調べて、自社に生かせるようにしておくと良いでしょう。
競合環境の観点で分析するべきポイントは、大きく分けて以下の4点になります。
- 競合の特定
- 競合のビジネス結果そのもの
- 競合のビジネス結果を出したリソース
- リソースが結果を出した仕組み
3.自社の情報を調べる
“外部”要因である市場や顧客、競合と異なり、“内部”要因である自社の観点で情報を整理します。自社がどのような価値を提供しているのか、競合と比べて強み・弱みになるのはどこか、詳細をまとめていきましょう。
[自社]で調べること
- 自社の企業理念やビジョンをどのように打ち出しているか?
- 自社がどのような事業を行っているか?
- 自社の事業や製品、サービスの特徴や強みはどこか?逆に弱みはどこか?
- 自社製品の売上規模はどの程度か?市場でどの程度のシェアを占めているか?
- 自社製品のラインナップはどのような状態か?
- 自社がどのような販売戦略を設計しているか?
- 自社の社員数はどの程度か?事業にどのくらいの人員を割けるか?
- 自社の資本力はどの程度か?投資能力はどの程度か?
- 他社にない独自の販路や製造ノウハウ、技術力は何か?
- 競合と比べたときの自社の一番の強みはどこか?弱みはどこか?
自社の情報ですので、調べずとも分かる部分も多いかと思います。
しかし、より詳しく調べるなら、商品開発や経営管理など専門部署にヒアリングして情報収集してください。
自部署で完結せず、会社全体に協力を仰いで進めていきましょう。
また、取引先の企業に、客観的な視点で自社について質問してみる方法もあります。
定量的な社員数・資本金・収益に加えて、自社の「強み」と「弱み」にフォーカスをあてることが重要です。
強みを生かした事業設計にしないと、競合に埋もれてしまいます。
また、弱みを自覚し、補填する施策を並行するのも戦略として有用ですので、客観的に洗い出しておきましょう。
自社環境の観点で分析するべきポイントは、大きく分けて以下の4点になります。
- 自社の経営理念・戦略
- 自社の強みと弱み、提供できる価値
- 自社のリソース
- リソースが結果を出す仕組み
4.3つの要素をまとめて結論を出す
3つのCを調べ終わったら、最後に調べた結果を考察し、事業の戦略方針や施策案について結論づけましょう。これが最も重要かつ難しい工程です。
ポイントは、分析結果から「需要があって(市場・顧客)ライバル企業の参入が少なく(競合)自社の強みが活かせる(自社)」分野を見つけ出すことです。
今まで調べた情報を統合して整理し、自社がやるべきことを見つけ出します。
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