企業のライフサイクルの理論ではライフステージを5つの段階とする方法が一般的です。5段階とは、【1】創業期(幼年期)【2】成長期【3】成熟期(安定期)【4】変革期(安定期から衰退期に入る間)【5】衰退期になります。これらの5段階を簡単にイメージしてみましょう。
企業のスタートは【1】創業期から始まります。次に事業が順調に拡大する過程が【2】成長期。そして、成長していた企業も【3】成熟期に入ります。成熟期では例えば成長期に見られたような売り上げの急増は止まりますが、事業が安定することで費用を抑えて利益を確保していきます。企業が販売する主力製品が時代遅れになってくると、【4】変革期を迎えます。企業にとって事業を変えていかないと生き残れなくなります。そうした事業転換が失敗すると【5】衰退期に入ります。
注意点としては、これらの5段階は【1】創業期から【5】衰退期に向かって順序良く進んでいくとは限りません。【4】変革期で、別の成長事業への転換が上手く行けば、売り上げが増加して再び【2】成長期入りする企業もあります。また【2】成長期から事業が失敗すれば一気に【5】衰退期に突入してしまうこともあります。
例えば、流行りのIT企業といえば【2】成長期がイメージできるでしょう。しかし成長事業には多くの企業が参入してきます、そうすると主力の分野で競争が激化して販売数量が落ち込んでくれば【4】変革期を迎えてしまいます。
ですから企業がこれらの5段階のどこに位置しているのかを適切に判断することは難しいです。
企業ライフサイクルの見極め方
米国の学者ディキンソン博士は2011年に企業が5つのどのステージにいるのかを簡単に判断する方法を発表しました。このディキンソンモデルは企業側が毎年1回行う本決算で公表される3つの値に着目しています。日本の多くの企業は3月末が本決算期末となり、4月中旬あたりから決算発表がなされます。そこで公表される決算短信に掲載されているキャッシュフロー計算書のなかから、(1)営業活動によるキャッシュ・フロー(2)投資活動によるキャッシュ・フロー(3)財務活動によるキャッシュ・フローの3つのキャッシュフロー(以後、CF)がプラスかマイナスかの符号のみに注目して判断するモデルです。
それぞれのCFは企業がどのような趣旨でお金を得たか、それとも失ったかを見ています。例えば、企業がモノを売ってお金を得たらその分は営業CFを得たことになり、プラスとなります。一方、会社が設備を増やそうとしてお金を使うと会社のお金が減ることになるので、投資CFはその分マイナスとなります。財務CFに関しては例えば、銀行から融資を受ければ会社にお金が入ってくるので、財務CFはその分プラスになります。毎年度の1年間で会社がこのような活動すると、3つのCFはそれぞれプラスになることもあるし、マイナスになることもあります。ディキンソンモデルはそれらの符号だけに注目して判断するのです。
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